2019年04月21日公開

2019年06月07日更新

ラベリング効果とは?レッテルを剥がして自由に生きる心理学!教育や恋愛にも!

他者からのレッテル貼りによって行動傾向が変わってしまうことをラベリング効果と言います。子どもや部下、恋人に対して「もっとこんな風に変わってくれないかな」などと思うことはありませんか?相手だけでなく自分をも変えてしまうラベリング効果の活用法をご紹介します!

ラベリング効果とは?

いきなりですが、「あなたはとても仕事が早い人ですね」と言われたら、その人は自分のことをどう思うでしょうか。 仕事が早く見られていると感じることで「仕事を早くやろう」と意識づくことはありませんか? 私たちは、それぞれが自分のイメージをもっています。「自分はこういう性格で、こんな特徴がある」という自己イメージがあります。 この自己イメージは、他人の貼ったラベルの影響を受けて変化するものでもあります。ですから、他の人から「とても仕事が早い人」と言われると、やがてその通りになってしまうことがあるのです。

このように他の人から貼られたラベルによって、行動や自己イメージが変わってしまうことをラベリング効果といいます。文字通り「ラベルを貼る」という動作から名づけられました。 ラベリング効果は良い方にも悪い方にも働きますが、ふだん気づかずにラベリング効果を使っている人もいるのではないでしょうか。以下に具体例を挙げてみます。

ラベリング効果の具体例

人は無意識のうちに相手にレッテルを貼ってしまいます。口に出さないまでも、「細かいことにこだわる人」「ていねいな人」「自分勝手な人」などと勝手に相手のイメージを決めてしまいがちです。 その分ラベリング効果は至る所で効果を発揮します。その具体例を見ていきましょう。

若返り

ある程度の年齢になっても、周りの人から「お若いですね」とよくいわれる人がいます。若い、といわれることで「自分は若いんだ。元気できれいなんだ」という意識が生まれ、そのラベルにふさわしい行動をとるようになります。 そして食べ物に気をつけたりエクササイズをしたりして、実際に若い自分でいるための何かをはじめます。 ラベリング効果が発揮され、「若い」という自己イメージが定着すれば、年を重ねても周りから若いと言われるでしょう。

エレン・ランガーが行った有名な実験で、老人ホームのお年寄りに「20年前の暮らしを完全に再現したらどうなるか」というものがあります。 「心の時計の針を巻き戻す」と呼ばれるこの実験では、「私は今、20年前の自分である」という、ある種の強力なラベルを貼ることが求められました。 実験の結果、お年寄りの体は、柔軟性や姿勢、視力、握力、聴力などが平均10%近くよくなったそうです。実験期間はたった一週間でした。

幸運

私たちは宝くじを買ったり、占いをしたり、神社にお参りしたりして「運が良ければいいな」と思うことがあります。 実際に「自分は運が良い人間です」と言い切れる人は多くないかもしれませんが、中にはそういう人もいます。では、どうすれば運が良い人になれるのでしょうか。 そのヒントはラベリング効果にあります。

運が良い人には、ラベリング効果が働いていると考えられます。何かのきっかけで「あなたはとても運がいい人ですね」というラベルを貼られると、自分のまわりに運が良い出来事を見つけようとします。 そういう人は、大したことではなくても「今日も運が良いことがあった」「これは幸運の前ぶれかもしれない」などと考えます。すると気分がよくなって、笑う回数が増えたり新しいことにチャレンジしたりします。 明るい人のまわりには、「何かいいことがありそうだ」と思って他の人もよってきます。そして、思いがけず良い話をもってきてくれたりするのです。運が良い人には、こうしたラベリング効果も働いているでしょう。

我慢

子どもであれば、宿題を嫌がったり友達とケンカしたりして暴れることもあります。中にはそういう傾向が強い子どももいますが、そのときの叱り方は後々まで影響を与えることがあります。 両親や先生から「あなたは我慢ができない人だ」としょっちゅう言われる子どもにはラベリング効果が働きやすくなります。そして「どうせ自分は我慢できない人間だ。だから何をやってもいいんだ」と極端に考え、さらに悪いことやったりします。 もともと我慢できないタイプではないのに、「忍耐力のない人間」というラベルを貼られたことで評価の通りに「我慢できない人」になっていくのです。

ラベリング効果の元であるラベリング理論

ラベリング効果の元となるラベリング理論については、社会学者ハワード・ベッカーの著書である「完訳 アウトサイダーズ+ラベリング理論再考」が有名です。 ベッカーのラベリング理論は、それまでの社会学における逸脱論に新しい流れをつくりました。逸脱論とは、なぜ世の中には正常でない人が出てくるのか、という研究です。 ベッカーは、「逸脱行動者、つまり犯罪者は世間の人が犯罪者だとレッテルを貼るから犯罪者になる」ということを述べています。ラベリングが犯罪行動を生むのではないか、ということから犯罪心理学とも関係しています。

ラベリング理論の具体例・社会現象

逸脱者としてラベリングされた人は、周りから「また犯罪を犯したり、変なことをやらかしたりするのではないか」と見られます。 逸脱者と見られた人は職場や地域などから敬遠されやすく、その結果、精神的な苦痛を感じたり貧困に陥ることがあります。 逸脱者はそうした状況からのがれようとして、不本意ながらもまた犯罪行為をしたり、犯罪集団に加わったりします。すると、それを見た人たちは「やっぱり、そういう人だったのだ」と自分たちのラベリングに自信をもったりします。

いじめ

ラベリングはいじめの被害者にも当てはまります。いじめを受ける子どもは、加害者からの暴力だけでなく、金銭を要求されたり屈辱的な扱いをされたりします。そこで付けられる「あだ名」には強力なラベリング効果が働きます。 自分につけられたあだ名は、意外とアイデンティティに影響を与えます。親しみを込めたあだ名は問題ありませんが、性格や個性を歪めるようなあだ名をつけられた人は、自分のイメージを悪くしていまいます。 あだ名が影響して、自分のことを「いじめられてもしょうがない人間」だと考えてしまうこともあります。稀な例かもしれませんが、ラベリング効果が働けばそうしたことも十分考えられます。

不良仲間

不良の近くにいる子どもをすべて不良仲間だと決めてかかると、間違った対応につながります。 不良の近くにいる生徒は、必ずしも素行が悪い人というわけではありません。不良達の良いよい面を知っていて付き合っている、普通の生徒もいます。 しかし、その生徒も先生や親から「お前も、あの不良の仲間だろう」というラベルを貼られることで、反発したり孤立しがちになったりします。 やがてその生徒は「あの生徒は不良仲間だ」という周囲の評価通りに、不良と似たようなことを始めたりします。すると大人や他の生徒は、不良仲間になった生徒を見て自分たちのラベリングに確信を持ちます。

ラベリング効果の活かし方

ここでは教育、恋愛、ビジネスの3つの分野を想定して、ラベリング効果の活かし方を解説します。 ラベリング効果は、日常のいろんな場面で使えます。また相手だけでなく、自分を変えたいときにも活用できます。 ラベリング効果を活かすときに大切なのは、相手のことを理解することです。どのような言葉が相手の心を動かすのか想像し、タイミングよく声をかけましょう。

【教育編】作文能力を伸ばす

教師の貼るラベルは、生徒に大きな影響を与えます。それは生徒のアイデンティティ、つまり自己の存在証明につながります。 たとえば、ある生徒に「〇〇さんは、作文がとても得意ですね」とラベルを貼ることで、その生徒はそれを自分のアイデンティティとして形成し、実際そうなるように行動します。 ラベリング効果とピグマリオン効果は似ていますが、少し違います。ピグマリオン効果は他者からの「期待」に応えようとするのに対して、ラベリング効果は他者からの「レッテル貼り」に動かされるという違いがあります。

【恋愛編】気が利く人にする

ラベリング効果は恋愛に応用することもできます。付き合っているうちに、だんだん相手の嫌なところが見えてきたり、些細なことででケンカになってしまうことがあります。そんなときこそラベリング効果を活かす絶好のチャンスです。 たとえば、相手がちょっと鈍感なタイプでも、「よく気が利く人だね」とラベルを貼ることで、こちらがしてほしいことを感じ取ってくれるようになります。 ラベリング効果がうまく働けば、相手もこちらも「気が利く人」というイメージが定着して、現実に気が利く人になります。

【ビジネス編】上司を変える

職場ではチームワークが要求されることも多いため、人間関係も業績に影響してきます。部下のやる気がない、同じミスを繰り返す、上司が部下を育てない、といった問題はよく見られます。こうしたときもラベリング効果が使えます。 たとえば、部下のことを「仕事ができるか、できないか」だけで見て、まったく個性や人間性を無視する上司もいます。そんなときは、「自分のことをわかってもらって、いつも感謝しています」と言ってみたらどうでしょう。 こうした言葉をふだんから口にしていれば、上司の意識がだんだん変わっていきます。そして、「部下を理解し、尊敬されている上司」というイメージ通りの上司を演じるようになります。

ラベリング効果を活用する際の注意点

ラベリング効果を使って相手を理想の人に近づけるという話をしてきましたが、ここでは注意点を挙げたいと思います。 ラベリング効果は、相手を動かす強力なツールですが、誰もがかんたんに変わってくれるとは限りません。 特に、ラベリングされた人が本当にそれを望んでなければ反発されることもあります。

ラベリングの前に、まずは先入観をなくして、相手が何を望んでいるか知っておくことが大事です。 その際、傾聴とコーチングの手法が役に立ちます。傾聴とは、カウンセリングでよく使われる言葉で、「心を込めて、真剣に相手の話を聴く」という意味です。 コーチングは、効果的な質問をして相手から答えを引き出すことです。たとえば、「最終的にはどうなりたい?」「どんな工夫ができそう?」「それを一言でいうと?」といった感じです。タイミングよく質問してみましょう。

ラベリング効果を自分に用いるという活用法

現代のようなストレス社会では、いつの間にか他の人からのラベリングを気にして生きている人も多いはずです。 ですが自分のラベリングが気に入らなければ、それを剥がすことができます。そして自分の好きなラベルを自分で貼ることもできます。 ラベリングを活かして、自由に自分の人生を生きていきましょう。「自分はこの道で生きてきたい」「これが私のやりたいことだ」「私は幸せになる」と自己暗示をかけてください。そうすることでラベリング効果がさらに強くなります。

ラベリング効果で自分を高める方法

ラベリング効果を高めるために大事なのは、詳細にイメージすることです。ただ何となく考えるのではなく、できるだけはっきりと映像や画像を思い浮かべてください。 思い浮かべたものは、外から眺めているような感じではなく、映像の世界に入り込んで見てください。そこでは見るだけでなく、何かを触ったり音を聞いたりすることもできます。自分がどんな気持ちなのか感じることもできます。 このイメージを1日に2回、朝起きたときと夜寝る前に思い出してください。この時間帯は、意識がゆるんでいるので自己暗示も入りやすいです。ぜひラベリングに活かしてみてください。

ラベリング効果と関連する心理学用語

ラベリング効果に関連する用語を知ることで、より確かなラベリングの活用ができ、その場に応じて柔軟に対処ができるようになります。 ここではラベリング効果にまつわる4つの用語をご紹介します。それぞれの用語も関連し合っているので覚えておきましょう。

ラベリング理論とスティグマ

ある種の人びとにネガティブなレッテルを貼ることをスティグマといいます。スティグマは、烙印や汚名といった意味があります。 社会や周囲から「劣っている人」と見られることで、差別を助長したり社会的に不利な暮らしを強いられたりします。たとえば前科がある、精神疾患があるなどの理由で、世間から疎外されるといった場合が当てはまります。 ラベリングとスティグマの違いは、少しわかりにくい部分もあります。あえて言えば、ラベリングがいろんな状況や人で良くも悪くも使われるのに対して、スティグマは「差別や汚名から生まれる否定的なラベリング」です。

ラベリング効果とピグマリオン効果

ピグマリオン効果は、他の人に期待されたことに応えようとする心理です。人は他者から期待されると、それをある種の予言的なメッセージとして受け入れ、その通りの人間になろうとします。 他者からの働きかけで、その人の行動が変わるという意味では、ピグマリオン効果とラベリング効果は似ているように見えます。 2つの違いは、ピグマリオン効果が視点が未来に向かっているのに対して、ラベリング効果は現在のその人全体のイメージを決定した上で作用することです。

ラベリング効果とハロー効果

あまり意識していなかった人が、実は「医者の息子だった」とか「全国大会で優勝した人」などと聞いたとたん、急にその人に対する評価を変えてしまったことはありませんか? それがハロー効果です。CMで好感度タレントを使う理由も、そうすることで商品の価値を高く見せることができるからです。 ラベリング効果との関連で考えると、ハロー効果は相手の高い価値を見たり聞いたりしたことで新しいラベリングが生まれる、という見方もできます。つまりハロー効果は、ポジティブなラベリングの一種と考えてよいでしょう。

ラベリング効果と心理的リアクタンス

人には「自分の行動は自分で自由に決めたい」という欲求があるために、他の人からの押しつけに反発し、抵抗する心理が働きます。これを心理的リアクタンスといいます。 「見てはいけません」と禁止されると、余計に見たくなることから「鶴の恩返し効果」とも呼ばれます。 ラベリング効果を試みようとして安易にラベルを貼ると、相手に心理的リアクタンスが起きます。一度、反発や抵抗されると関係を修復することが大変になるので、ラベリングの際は十分な注意が必要です。

ラベリング効果で昨日と違う自分になれる!

ラベリング効果などの心理テクニックを使って、相手を「自分の都合よく動いてくれるように心理誘導したい」と考える人は多いようです。 逆に、「人を変えるなんて、無理に決まっている」と思う人もいるかもしれません。確かに、私たちは経験的に、人はそう簡単に人が変わらないことも知っています。だからこそ、「心理学って面白い!」と感じていただければ幸いです。 また、「人を変えるよりも、自分を変えた方がいい。自分ならいくらでも自由に変えられる」と考える人もいます。まずはラベリング効果を自分に試してみてはいかがでしょう。

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ライター

morikei

morikei

メンタル系に強いライター として活動中。10代の頃から体調不良や人間関係に悩み、哲学や心理学に傾倒す...

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