2019年04月05日公開

2019年06月12日更新

共感疲れしてしまうあなたへ。臨床心理士が原因や対処法を解説します!

相手の気持ちに共感することは、人との関係を深めるための大切なポイント。でも、共感しようとがんばりすぎるあまり、自分の気持ちが疲れてしまったことはありませんか?ふだん見落としがちな共感のリスクと、疲れてしまったときの対処法について考えていきましょう。

共感することに疲れていませんか?

友達、恋人、仲間…相手が自分にとって大切な人であるほど、「相手の気持ちを理解したい」「相手の気持ちを分かち合いたい」と願うものですよね。 一方で、共感することで疲れてしまったり、自分の心のバランスを崩してしまうこともあります。相手のためを思ってしていることが、かえって自分を追いつめてしまうことがあるのです。 友達の愚痴を聞いているうちに、自分も一緒にイライラするようになった… 恋人の悩みに共感しているうちに、自分の気持ちもつらくなってきた… そんなとき私たちはどうすればいいのでしょうか? 共感の効果とリスクから、共感との上手な付き合い方について考えていきましょう。

共感とは?共感性の4つの特徴

「共感」とは、相手の感情を共有したり、理解したりすること。 また、共感することによって起こる心の変化のことを「共感性」と呼びます。 共感しているとき、あなたの心には何が起きているのでしょうか。 共感性の4つの特徴から、その心の動きを見ていきましょう。

困っている相手を放っておけない

あなたが誰かに共感しているとき、当然ながらあなたの気持ちは相手に向けられています。相手の痛みに心を寄せ、できればそれを軽減してあげたいという優しい気持ちが高まっています。

困っている相手を見て自分も動揺する

相手の苦しみや痛みにふれることで、自分の心の中にも動揺や不安が起こります。他の人が感じている気持ちへの感受性が高く、相手の心の動揺によって自分の気持ちも動揺しやすくなります。

「もし自分がこの人だったら」と想像する

悩んでいる相手を見て、「もし自分がこの人だったらどうだろう」と想像します。 ふだん本や映画などのストーリーに入り込みやすい人は、目の前の相手に対しても「自分がその人になったら…」と想像しやすい傾向があります。

相手の目線から考える

相手の目線になって、相手の気持ちや考えを想像します。 「もし自分だったら」という自分の見方や考え方を切り離し、あくまで相手の目線からものごとを見ることで、「実際に相手がどう感じているか」を正確に推測しようとしています。

なぜ共感は大切?共感することの効果

共感は、人との関係を円滑にしたり、社会で上手に生きていくために欠かせない要素のひとつですよね。共感の力が高い人ほど人付き合いがうまいというイメージもあるのではないでしょうか。 まずは、共感が人間関係にもたらすポジティブな効果から考えていきましょう。

相手との距離が近づく

共感のいちばんのポイントは、相手との距離が近づくことです。 困っているとき、悩んでいるときに気持ちを分かってくれる人には、心を開きやすいものですよね。いちばん苦しいときに共感してもらえることで、相手はあなたのことを「親しい人」と感じるようになります。

仲間に受け入れられやすい

共感することは「気持ちを共有する」ことでもあります。苦しい気持ちを一緒に味わうことで、仲間意識も強まります。 また、「あの人なら気持ちを分かってくれる」と思ってもらえることで、仲間内で信頼される人になります。

人付き合いがスムーズになる

共感性の高い人は、人助けや交渉が得意です。相手の困りごとや必要としているものを正確にキャッチすることができるので、そのときの相手に合わせた動き方ができるからです。 また、共感力は恋愛でも発揮されます。いつも穏やかで相手の気持ちに寄り添うことのできる共感力の高い人は、男女ともに人気があります。

共感することのリスクは?疲れてしまう原因

共感することの効果に注目すると、「共感はいいことばかり!」と感じるかもしれませんね。でも、共感することには実はリスクも隠されています。 それは、相手のつらさに寄り添うことで、自分の心が疲れてしまうこと。 なぜ共感することで疲れてしまうのか、その原因についてご紹介していきましょう。

ネガティブな気持ちに頻繁にふれる

ネガティブな情報や気持ちにふれることは、人の心にとってダメージとなります。 ただ、人のつらさに共感しているときは、どうしてもつらい話やひどい話の話題になりますし、「悲しい」「苦しい」「腹が立つ」などの言葉もたくさん耳にするでしょう。 ネガティブな言葉にふれる機会が積み重なっていくことで、自分では気が付かないうちに心がダメージを受け、疲れたり落ち込んだりすることがあります。

相手の気持ちに巻き込まれる

相手の気持ちに共感して寄り添うあまり、相手の気持ちをまるで自分の気持ちのように感じることはありませんか? 悲しんでいる相手を見て、自分まで悲しくなって泣いてしまう 怒っている相手を見て、自分まで腹が立ってくる 相手の気持ちを引き受けやすい、いわゆる「感情移入」しやすい人は少し要注意。共感することで自分と相手との境界線がなくなってしまい、相手の気持ちに巻き込まれやすくなります。

過去のつらい記憶を思い出す

相手のつらい話を聞いて共感しているうちに、過去に自分も同じような体験をしたことを思い出すということもありますよね。 その体験が自分の中でしっかり整理出来ていれば、思い出しても基本的に問題はありません。ただ、その傷がまだ癒えていなかったり、むりやり心の中に抑えつけてしまっているような場合は、思い出すことで自分の気持ちが激しく動揺してしまうことがあります。

「つらい」と言えない

共感することは、相手に対する思いやりでもあります。ただ、その思いが強すぎると、自分が共感に疲れていることに見て見ぬふりをしてしまうこともあります。 「共感に疲れてしまうなんて、自分はなんて冷たい人間なんだろう」 「共感に疲れてしまうのは、相手のことを大切にしていないからだ」 「共感に疲れたことを相手が知ったら、見放されたとショックを受けるのでは」 そんなふうに感じてしまうと、なかなか自分から「つらい」と言えず、我慢しながら共感を続けることになります。

疲れにくい共感のために

共感すること自体は、円滑な人間関係を築くために必要なことですよね。ですから、疲れるリスクがあるからといって、全くやめてしまうわけにはいきません。 そこで、できるだけ自分の心がダメージを受けにくい共感の工夫を考えていきましょう。ふだん共感に疲れやすい人は、次のようなポイントを意識してみてください。

相手との距離を保つ

共感に疲れてしまういちばんの原因は、相手との距離が近すぎてしまうこと。自分と相手との境界線がなくなってしまうと、つらい気持ちに巻き込まれて共倒れになってしまいます。 「心に寄り添うこと」と「相手と同一化してしまうこと」とは違います。「自分は自分、相手は相手」ということを、まずはしっかり心に留めておきましょう。相手がつらさで動揺していても、あなたはあくまで冷静に相手をサポートすることが大切です。

時間を区切る

はじめは共感的に話を聞いていたけれど、あまりに話が長くなりすぎてだんだん疲れてきてしまったという経験はありませんか? 共感にはとてもエネルギーが必要なので、どんなに共感が上手な人も長い間共感し続けるとやはりだんだん疲れてきてしまうものです。そうなると、相手の話に集中できなくなったり、疲れが表情に出てきたりと、自分にとっても相手にとってもデメリットが生じてきます。 相手の心にしっかり寄り添って共感するには、ある程度で時間を区切ることがとても大切です。あらかじめ「今日は何時まで時間をつくれるから」と伝えておくといいでしょう。途中で話を中断させるときは「今日は時間が来たけど、またあらためて話を聞かせてね」と伝えると、安心感につながります。

主語を意識する

日本語は主語をはっきりさせずに話をすることも多いですよね。そのことが、自分と相手の境界線をあいまいにさせるひとつの要因にもなっています。 共感するときは、自分と相手の境界線を意識することがとても大切。ですから、「あなたはこう思うんだね」「私もこう思うよ」と、あえて主語をしっかり明らかにして話すことをおすすめします。 そうすることで、誰の意見なのか、誰の気持ちなのかが明確になり、自分と相手との間に距離を保ちやすくなります。

ポジティブなアイデアも取り入れる

ネガティブな気持ちに共感しているとき、どうしても話全体がネガティブなトーンになりがちなのは仕方のないことです。ただ、そのままずっとネガティブな話ばかりがループして、なかなか出口が見えないということもあるでしょう。 そんなときは、相手の気持ちに共感しつつも、あえてポジティブな目線をひとつ取り入れてみると流れが変わるきっかけになります。「こんなことをやってみるのはどう?」と提案したり、「一緒にこれで気分転換しよう」と誘ってみるのもアイデアです。 共感に慣れていると、相手の気持ちから外れることにはためらいを感じるかもしれません。でも、そのポジティブな一言が、相手のネガティブな気持ちを救うことにつながることもあるのです。

自分のコンディションを整える

共感することには、心身ともにたくさんのエネルギーが必要です。ですから、もともとの共感力が高い人であっても、自分のコンディションが整っていなければ共感に疲れを感じやすくなります。 体調が思わしくない、仕事で手いっぱいになっている、自分の悩みごとが解決していない、精神的に不安定になっている、などの場合は、共感力が低下して疲れやすくなっていると考えてよいでしょう。 「相手のためだから」と、自分の心をおろそかにしてしまうことは禁物です。まずは自分に対するケアを行って、しっかりコンディションを整えることを優先させてくださいね。

共感に疲れたときの対処法

相手の気持ちに巻き込まれないように気を付けていても、共感しているうちにどうしても疲れたり傷ついてしまうことはあるでしょう。自分では大丈夫と思っていても、実は知らないうちに自分の心がダメージを受けているという場合もあります。 そんなときは、できるだけ早くダメージから回復できるようケアが必要です。共感に疲れたときの対処法についてご紹介していきましょう。

自分が疲れていることに気付く

共感による疲れのやっかいなところは、自分自身がその疲れに気が付きにくいということです。相手のためを思って一生懸命共感しているうちに、自分の心のダメージがどんどん大きくなっていることも少なくありません。 まずは「共感で疲れることがある」という事実を知って、相手の心だけでなく自分の心もしっかりモニターしておくことが大切です。少しでも疲れを感じたときは、いったん自分のケアを優先するようにしてください。

自分の時間をもつ

共感することに疲れたときは、まずあなた自身の心をケアするための時間を確保しましょう。人に合わせて寄り添うことから離れて、自分をリフレッシュさせることも大切です。 共感しているときは、相手の気持ちを考えていたり、最適な対応を選んだり、あなたの頭はつねにフル回転しています。ですから、その疲れから回復するために何より必要なのは、休むことです。何も考えずひとりでぼんやりできる時間を意識的にとるようにしましょう。 また、自分の好きなことを思いきり楽しむのも、心のエネルギー回復につながります。趣味に没頭したり、気分転換に出かけたりして、ポジティブな感覚にもふれるようにしてください。

信頼できる人の力を借りる

相手の気持ちが落ち込んでいると、共感する側もそれをひとりで抱え込んでしまいがちです。責任感のある人ほど「せっかく自分に打ち明けてくれたのだから」「私が共感してあげなければ」と考え、自分の疲れと相手への共感の板挟みになってしまうこともありますね。 そんなときは思いきって、信頼できる誰かの力を借りることも考えてみてください。相手があなたの共感を必要としているのと同じように、あなたも誰かの共感を必要としています。 また、相手の悩みに共感し適切にアドバイスをしてくれる第三者につなぐということも、あなたの心の負担を和らげる方法のひとつです。同じ悩みの経験者や専門家、相談窓口などを一緒に探してみるのもいいでしょう。

癒されるものにふれる

だれでも心の癒しを必要としているものですよね。共感することで相手に癒しを与えているあなただからこそ、自分自身の癒しも大切にしてほしいなと思います。 特に、共感のような人間関係の疲れにおすすめなのは、生きものにふれることです。ペットとふれあったり、植物を育てることは、緊張していた心をほぐすのにとても効果があるといわれています。海や山など、自然にふれられる場所に出かけるのもリフレッシュになりますよ。

自分の心も大切に

やさしい人、責任感のある人ほど、共感することに疲れてしまいがちです。相手の気持ちに共感することを優先するあまり、自分の気持ちがないがしろになっていませんか? 自分の心も相手の心も大切に、あなたの共感力を最大限ポジティブに活かしていってくださいね。

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ライター

高宮りか

高宮りか

スクールカウンセラーとして活動する臨床心理士。メンタルで悩む人にも、そうでない人にも、みなさんの生活...

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